今月の住宅

No. 13 マレーシアのアパートメントの改装

設計 Jade Saw

 リフォームがの重要な仕事になりつつあるようですね。改装の新鮮さは日常的に暮らしている空間だけにうまくいくと信じられないような気分になるものです。今回はぼく自身のアパートメントの改装をご紹介します。所在はマレーシアのクアラルンプールです。改装は1999年のマレーシアのインテリアデザイン、住宅部門賞を受賞しました。

 設計はJade Saw. 女性建築家。32才くらい。中国系のマレーシア人です。オーストラリアの大学の建築科修士取得。あちらの設計事務所に数年勤務後、クラルンプールに帰ってKim Sawと事務所をオープンしています。いくつかの国内の賞の受賞歴があり、ヨーロッパにもしばしば行っています。

 きちんとしたモダンデザインでとても優秀な建築家だなと感じました。マレーシアでこれだけのモダンデザインが良く受賞できたなと審査員の顔ぶれを聞きましたところマレーシア人は一人だけで、あとは欧米の建築家だったようです。変に納得してしまいました。

 いわゆるワン・ベッドルームのアパートメント。あちらでは小さいアパートです。珍しく低層で1階は駐車場、2/3/4階がフラット。仕事の必要上10年以上まえに手に入れていたものの改装です。

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玄関扉。光が反射して見えにくいかもしれませんが 左が木製の扉。入り口は階段で3段下がっています。

←写真2

玄関扉を開けたところ。正面にテラスの緑がみえます。右手に見える白い壁はキッチンへの入り口。すべてオープンに改装されています。

↑写真3

左手にデイベッド。インドネシア製の籐をはったもの。家具は全体にコロニヤルなテイストにしてあります。右手にガラスの折戸。その奥がベッドルームです。

↑写真4

見返し。右手に玄関扉が開いて居ます。その左はキッチンです。キッチンは以前は壁で遮られていました。その向こうにも低い窓が開けられ、台所仕事が気持ちよくできるようになりました。設計はいいのですが問題はカランその他で、いい物がありません。ざんねん。

↑写真5

ベッドルームを正面から見たところ。ここにも壁がありましたが取り払って、折戸を用意。普段は閉じていますが、閉じられると言う安心感は大きいです。それにしても壁の取り払い方はドラスティックです。なお、正面の小さい窓も外の空間を意識化するために開けられています。

←写真6

小さなタンスは北欧製。50年代の物と思います。マレーシアでは北欧でのオークションで入手した家具を完璧に修理して売るのビジネスをやっている人がいてすばらしい物がときに手に入ります。人件費が安いので日本で骨董家具屋にあたるより遙かに買いやすい。

←写真7

テラス。床が面一で伸びて、室内空間が広くなった感じです。緑の伸びが早くて幸せです。

↑写真8

リビング見返し。デイベッドは脚を切って低くしてあります。床はタイル。音響効果が良くてぼくの弾くビオラ・ダ・ガンバが、まるで上手になったような気にさせてくれます。東京の家の床まで、石かタイルにしたくなっています。

←写真9

ベッドルーム。ベッドカバーを買いに行く時間がなくて。こんど考えようと思っています。左手の棚はその向こうに隙間がとってあり、天井の方も空間がとられていて繊細な感覚をもってデザインされていると感じました。木のブラインドはさすがにしっかりしてます。

←写真10

ベッドルームからのリビング見返し。左手のガラスと広いバスルーム。

←写真11

ここも壁をぶち抜いて、視線をのばせるようにしています。以前から比べるとすばらしく解放感があります。右手はバスルームのシャワーセクション。バスタブはなしにしました。

←写真12

トイレの右は前面鏡です。いやあ、自分の裸は見たくもない。ここらあたりが若い女性の建築家のフィーリングでしょうか。

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キッチンからリビング方向をみたところ。カウンターの下は抜けています。

←写真14

流しの前の横位置の窓がきにいっています。


この改装は大成功だと信じています。マレーシアに行く回数が増えそうです。

 


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