No.26 奥沢の家

設計:永田 昌民

 友人の家です。20年ぐらい前に建てられた家ですが、先日、遊びに伺って、見慣れた家なのになんとも居心地のいい家だなと改めて感心しました。
 20年の時を経て美しさを保っている、あるいはそこに選べれて置かれている品々の選びで、この住まいはさらに美しく居心地のいいものになっています。
 写真点数が少ないのはお許し下さい。長く暮らされている家ですが、ここしかお邪魔したことがありません。公私の別がきちんと分けられている家でもあります。だからしょっちゅうお客を招かれています。都市型の人間の暮らしは、はこうでなくてはと思ってしまいました。
 2世帯住宅で1階はご両親の住まいです。


 このリビングは2階にあります。空間の広さは7×8メートルくらいでしょうか。
 大きなボールト天井が、幾つかに分割されたスペースを一つにまとめています。イタリーなどの石のボールトのきつい角度ではありません。ゆったりと無理なく、落ち着きます。合板の張力を生かしたボールト天井です。
 このボールトのお陰で、南面したところの開口は、高さ2メートルまであるかないかまで下がってきています。でもこの低い天井が作りだした光りと陰、包み込むような感覚にはすばらしいものがあります。窓際に立つと視線は自然に、庭の木々の緑へ向かいます。
 写真中央奥にチェンバロがあります。右手に暖炉。その奥に棚があって、裏は書斎です。棚のバックにはアップライトピアノ。

←写真(1)

 正面に階段室があって、左手、脇に客用のトイレもあります。右手の収納に、この大天井を支える柱が隠されているのでしょうか。

←写真(2)

 写真(1)の見返し。ダイニングテーブルサイドを見たところ。テーブルは8人座れます。

←写真(3)

 ダイニングテーブルのある側からカウンター越しにキッチンを覗いたところです。

←写真(4)

 左手、トイレ。正面にキッチンで料理中の友人の姿が見えます。

←写真(5)

 キッチン方向を見た引きの写真です。

←写真(6)

 テーブルを写しました。テーブルは木曽三岳奥村設計所。栗の無垢板です。長さは2200くらいあります。椅子は川上元美さんデザイン。手前にある器----たまたまそこにあったのですが武田武人さんの作品。その向こうの湯飲みは小山富士夫さんの作品です。壁の画は園原小波さんの画です。

 細かいところまで気遣いのあるこの家の暮らしぶりにはいつもながら感嘆します。家もいい、暮らし方もすばらしい。
 こんな暮らしもある、できる、気を付けさえすれば、と勉強になります。20年の時を経て家が熟成しているということでしょうか。

←写真(7)