No. 27 森に浮かぶ家

設計:田中ナオミ+須永豪

武蔵境駅から地図に従って緑の公園を抜けていきました。すでにして空気感が違うという感じです。8分ほど歩いたところに、この「森に浮かぶ家」はあります。
2階の空間を見上げた瞬間にうれしくなりました。
設計に当たってのコンセプト、ネーミングの心が守られているな、ということは一目で理解できます。設計意志と言うべきか筋が通されている点、大いに好感が持てました。
小さく抑えられた1階プライベートに、大きく開放的な2階の空間もメリハリ効いています。
建ぺい率が40/80ですから「回りの土地の生かし方を考えた」とおっしゃっていましたが、玄関まわりのゆとりは郊外型でいいものです。


(1)(2)(3)と公園側から玄関サイドへ回りながら写した3枚です。張り出した2階の床の下、視線を通す仕掛けが浮遊感を強調していますね。

←写真(1)

←写真(2)

←写真(3)

2階リビング、ひろびろと取られた空間、左右に精一杯開けられた開口の心地よさは何ものにも代え難いすばらしさです。

←写真(4)

(5)(6)小さなテラスは人が集まったときには椅子代わりにもなりそうです。空間の延長にも役だっています。天井は布張り。吸音とコスト削減のための選択とか。でも、なかなかやさしい感じですね。

←写真(5)

←写真(6)

キッチンから見通したところ。

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階段見下ろしですが、この手すりがポイント。階段上部へのハッチになります。空気圧を利用して、かるく閉じることができて床になります。キッチンへの接近もできる仕掛けです。

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クローズドで使い良さそうなキッチンです。

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玄関

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主寝室からの玄関見返し。

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主寝室内部

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玄関内部

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1階のバスルーム

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帰りがけにふと気が付きました。軒下にベンチ。散歩の人への心遣いです。この家のもう一つのメッセージでしょう。

←写真(15)


設計にあたって、窓枠の処理にはそうとうに気が遣われているなと感じました。外部に対して規制の窓枠を使うのはコスト的に仕方がないとして、内部だけはプロポーションを守りたい、そして窓枠をできるだけ見せたくないと言う意志を通しているところ、いいですよね。緑に囲われた土地ですばらしいのに、暗いと思われて最後まで売れ残っていた土地だそうです。驚きますね。

敷地面積109.10m2 容積率40/80 1階床面積29.84m2 2階29.94m2